アセットマネジメント業務(投資対象資産運用管理業務)のIT化

「アセットマネジメント」とは、投資目的での不動産形成や運用、保全を行う業務を指します。投資家・オーナーに代わって不動産の総合的な資産管理を行い、その価値を最大化することを主な業務としています。
今回のコラムでは、投資対象資産運用管理業務(ファンドマネジメント視点からのアセットマネジメント)に焦点をあてて解説したいと思います。

1. 投資対象資産運用管理業務とは?

投資対象資産運用管理業務(ファンドマネジメント視点からのアセットマネジメント)は、投資対象となる不動産資産の運用管理を行う業務です。具体的な業務内容を見ていきましょう。

① 不動産投資戦略の策定


アセットマネジメント業務の中心的な要素であり、投資家のリスク許容度、投資目標、市場環境を考慮に入れて行われます。これには、投資対象となる不動産の種類(オフィス、住宅、商業施設など)、地域、セクターの選定、投資期間、借入の利用度合いなどが含まれます。また、投資戦略は定期的に見直され、市場環境の変化や投資パフォーマンスに応じて調整されます。

② 不動産取得


策定された投資戦略に基づいて行われます。取得までのプロセスには、物件の選定、価格交渉、契約締結、融資調達などが含まれます。なお、物件の選定にあたっては、物件の収益性、価格、ロケーション、建物の品質、市場環境などが評価されます。

③ ファンドパフォーマンスの分析・報告


投資家に対する透明性を確保し、投資戦略の効果を評価するために重要な業務です。分析には、投資物件の収益性、キャッシュフロー、資産価値の変動、投資リターン(IRR、ROEなど)、リスク(ボラティリティ、デフォルトリスクなど)などが含まれます。また、報告には、これらの分析結果とともに、市場環境の変化、投資戦略の見直し、物件の運用状況などが含まれます。

④ 不動産売却


策定された投資戦略に基づいて行われます。売却プロセスには、物件の価格設定、売却先の選定、契約締結などが含まれます。なお、物件の価格設定にあたっては、物件の市場価格、収益性、将来性などが考慮されます。また、売却先の選定では、売却価格、契約条件、取引のスピードなどが評価されます。

※ 不動産運用


取得した不動産の運用を行います。これには、テナントの選定、賃料の設定、物件の維持管理などが含まれます。 当該業務に関しては、下記の以前のコラムをご覧ください。

2. ファンドマネジメント視点からのアセットマネジメントのIT化

本章では、各業務のIT化によって前章で紹介した業務がどのように変わるかを、具体的な主要データとデータベースシステムの活用を主軸に見ていきたいと思います。

図1 アセットマネジメント業務(投資対象資産運用管理業務)のIT化

業務
不動産投資戦略の策定
不動産取得
ファンドパフォーマンスの分析・報告
不動産売却
メリット
大量のデータを迅速に処理することが出来るようになり、より精緻な戦略を策定することが可能となります。 不動産市場の動向、物件の市場価格、利回り等の主要なデータを一元的に管理し、これらのデータを基にして戦略の策定を行います。 また、データ分析ツールやAI予測モデル等のシステムを導入することで、従来の手作業による戦略策定から、データ分析に基づく戦略策定へと変化します。
物件情報の収集や分析を効率化することで、より適切な物件を選択することが可能となります。 物件の属性情報、市場価格、利回り、地域情報等の主要なデータを一元的に管理し、これらのデータを基にして物件選択を行います。 また、データ分析ツールを導入することで、従来の手作業より多くの物件から選択できるようになります。
大量のデータを迅速に処理し、リアルタイムでの分析・報告が可能となります。 投資物件の運用状況、収益率、リスク等の主要なデータを一元的に管理し、これらのデータを基にした分析・報告を行います。 また、データ分析ツールやレポート作成ツールを導入することで、より高度な分析や報告ができるようになります。
物件の価格設定や売却タイミングの最適化を支援することが可能となります。 物件の属性情報、市場価格、利回り、売却履歴等の主要なデータを一元的に管理し、これらのデータを基にした物件の売却を行います。 また、データ分析ツールを導入することで、より高度な分析ができるようになります。
デメリット
システムの導入や運用には専門知識が必要となるため、専門的なスキルを持つ人材の確保や育成が必要となります。
情報過多や誤ったデータ分析による判断ミスのリスクもあります。また、データの品質や信頼性に依存するため、データの管理や更新が重要となります。
データの解釈や分析結果の適切な活用には専門的な知識や経験が必要となります。
過度な自動化は、市場の微妙な変動を見逃すリスクもあります。また、データ分析に基づく売却業務は、市場の急激な変動や予期せぬ事態に対応する柔軟性が求められます。



なお、全体的なデメリットとして、
■ 初期投資や維持費用が必要
■ システムの故障による業務停止のリスク
が考えられますが、業務のIT化にはデメリットを補っても余りあるメリットが待っています。

3. アセットマネジメント業務のDX化

ここまでご紹介してきたアセットマネジメント業務のDX化には、経営管理システムを導入することで、より有効性が高まります。
そこで、今回はデータベースで経営管理に必要なデータを一元管理できるシステム、「fusion_place」を導入した際の適用例をご紹介します。

図2 fusion_place


fusion_placeは、取引業務のサポートを主たる役割とする ERP や、情報利用/分析の支援を主に目指す BI(ビジネスインテリジェンス) とは異なり、以下の4つの特性に基づいて経営管理業務を支援する「クラウド型経営管理プラットフォーム」です。

1. リアルタイムサポート
2. バージョン管理
3. 経営データの分散と統合
4. 変化の速い経営管理要件への追随性

fusion_placeのこれらの特性を活かした「アセットマネジメント業務への適用例」を具体的に見ていきましょう。

fusion_placeの特徴
1.リアルタイムサポート
経営情報の加工・編集・共有プロセスに対するリアルタイムサポートを可能とします。
2.バージョン管理
多次元集約データを対象とする加工・編集とバージョン管理を可能とします。
3.経営データの分散と統合
各業務のデータを統合し、全体業績の把握を可能とします。
4.変化の速い経営管理要件への追随性
市場環境の変化や業務要件の変更に柔軟に対応することを可能とします。
アセットマネジメント業務への適用例
「物件運用(運用計画・運用報告業務)」や「資金管理」において有効です。物件の稼働率や賃料収入、運用コストなどのデータをリアルタイムで把握し、運用計画の策定や修正を迅速に行うことが可能となります。また、資金の管理や資金繰り表の作成、資金需要予測などもリアルタイムで行うことができ、適切な資金運用を実現します。
「不動産投資戦略の策定」や「ファンドパフォーマンスの分析・報告」に有効です。投資戦略は定期的に見直され、市場環境の変化や投資パフォーマンスに応じて調整されます。この際、バージョン管理機能を活用することで、過去の戦略や分析結果を適切に管理し、新たな戦略策定や分析に活用することが可能となります。
「テナント管理」や「建物運営管理」「商業施設運営」に有効です。テナント情報や建物の設備状況・修繕履歴、売上・来客数・テナント満足度などのデータを一元管理し、必要に応じて分散・統合することで、業務効率化と情報の正確性を確保します。
「不動産取得」や「不動産売却」に有効です。市場環境の変化や物件の価格、収益性などの変動に素早く対応し、適切な取得・売却戦略を策定することが可能となります。

アセットマネジメント業務のDX化には、経営管理システム「fusion_place」の導入が有効です。
fusion_placeはリアルタイムサポート、バージョン管理、経営データの分散と統合、変化の速い経営管理要件への追随性の4つの特性を持つクラウド型経営管理プラットフォームで、物件運用や資金管理、不動産投資戦略の策定、テナント管理などの業務に適用可能であり、これにより、業務効率化と情報の正確性を確保し、適切な資金運用や投資戦略を策定することが可能となります。
※なお、fusion_placeの導入にあたっては、お客様のご要件をヒアリングし、ご要望に合わせて構築する必要がございます。

5. まとめ

アセットマネジメント業務のIT化は、不動産投資戦略の策定や不動産取得、ファンドパフォーマンスの分析・報告、不動産売却などの業務を効率化します。
また、大量のデータを迅速に処理し、一元的に管理することで、精緻な戦略策定や物件選択、リアルタイムの分析・報告、価格設定や売却タイミングの最適化が可能になります。
さらに「fusion_place」の特性を利用したDX化によって、物件運用や資金管理、テナント管理、建物運営管理、商業施設運営などの業務の効率化も可能になります。

本コラムを読んで頂いた皆様には、是非、今一度自社業務を見直して頂き、改善できそうなポイントがあれば、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
業務のIT化でお困りの際は、お気軽に弊社にお問い合わせださい。

第1弾:アセットマネジメントとは?不動産業におけるアセットマネジメントの役割
第2弾:アセットマネジメント業務(物件期中運営管理業務)のIT化

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