不動産テックとは|種類から業界の課題・成功させるポイントまで

ここ数年、不動産テックという言葉が注目されています。不動産テックは新しい不動産サービスの一種であり、日本の不動産市場に変革をもたらす可能性があるため、期待されているサービスです。世界では「プロップテック」と呼ばれ、国土の広い米国や豪州では移動にかかるコストを抑える取組みなど、活発になっています。

■参考サイト【【注目の海外プロップテック企業】第5回: Properlytics(プロパリティクス)】

しかし、言葉は知っているものの、不動産テックの詳しい意味や種類について知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、不動産テックという言葉の意味やサービスの種類、そして不動産テックを活用することにより得られるメリットについても紹介します。不動産テックに関心がある方は、参考にしてください。

1. 不動産テックとは?カオスマップ・種類も解説

不動産テックとは、不動産とテクノロジーを組み合わせて作られた言葉です。テクノロジーを用いて、不動産業界における課題の解決や従来の商慣習を変える取り組みのことを指します。

不動産テックの概念は、テクノロジーの発達に伴って不動産業界がテクノロジーを取り入れようとする流れの中で生まれました。現代のテクノロジーを利用した不動産テックの取り組みを行うことは、従来の不動産ビジネスに潜む問題点の解決や業務効率化につながると期待されています。

また、不動産テックには11の種類があります。一般社団法人不動産テック協会の公式ホームページではカオスマップとして、種類ごとに国内の特定事業者がカテゴライズされています。2021年7月時点では、合計446サービスの特定事業者が存在していました。

種類
VR・AR
不動産情報
仲介業務支援・管理業務支援
IoT
ローン・保証
クラウドファンディング
価格の可視化・査定
シェアリング
リフォーム・リノベーション
マッチング
物件情報・メディア
特定事業者数
31
16
144
35
13
23
26
36
66
44
52

(出典:一般社団法人 不動産テック協会「不動産テック カオスマップ」)

ここからは、それぞれの種類について詳しく解説します。

1-1. VR・AR

VR・ARは、仮想現実や拡張現実を利用したサービスです。代表的な例には、VR技術により現地に足を運ばずともお客様が物件の内覧を行えるサービスや、AR技術で家具の配置シミュレーションをするサービスがあります。

AR技術で家具の配置シミュレーションをするサービスは「VRホームステージング」とも呼ばれ、入居者の退去前・物件完成前の物件案内が可能となり空室対策にも有効です。オンラインでの活動が拡大している現在では、さらに注目度・需要度の高まるサービスとなるでしょう。

1-2. 不動産情報

不動産情報サービスは、不動産情報の取り扱いに関するサービスです。代表的なものでは、不動産の登記情報をデータベースに集める取り組みがあります。この取り組みにより、物件データを一度に閲覧することができるため、不動産の登記情報を一つ一つ取りに行く手間を省くことができます。

事業者によっては、不動産の登記簿謄本や物件概要書のみならず、建ぺい率など物件情報に直接関連しない土地データの自動収集も可能で、さらなる業務効率化につなげることが可能です。

また、2022年1月に改正される「電子帳簿保存法」で、不動産業界でも取引データの保管において大きな変化が生まれるでしょう。不動産情報の不動産テックは、電子帳簿保存法の改正によりさらなる需要が見込まれます。

1-3. 仲介業務支援・管理業務支援

仲介業務支援・管理業務支援は、それぞれ顧客と不動産の間の仲介、不動産の管理業務をテクノロジーにより支援する取り組みです。

仲介業務支援は主に、不動産の売買や賃貸の仲介業務を支援するサービスを指します。代表的なサービスには、一般消費者である顧客が内覧予約から入居の申し込みまでをオンライン上で完結できる賃貸サイトが挙げられます。仲介業者である不動産会社の業務効率化にもつながるでしょう。

そして管理業務支援は主に、不動産会社の管理業務を支援する事業者向けサービスです。物件管理や空室募集、さらに入居者のクレーム対応など主にPM業務(プロパティマネジメント業務)に対応しています。

1-4. IoT

IoTは、主に不動産の状況を確認するためのカメラやセンサー、電子錠による入退室管理システムに関するサービスです。

近年ではIoT住宅も注目されており、代表的なものには玄関ドアにIoTを取り入れてスマホ上で鍵を施錠・解錠できる機能や、スマホの画面あるいはスマートスピーカーによる音声操作で室内ライトの光量を調節したり、空調管理をしたりする機能が挙げられます。

1-5. ローン・保証

ローン・保証に関しては、テクノロジーによりさまざまな状況に応じたローンのシミュレーションを行うことが主な役割です。いわゆる、住宅ローンや保証を主としたサービスです。

ローン・保証の不動産テックにおける代表的なサービスには、顧客それぞれの「融資が可能となる住宅ローン額」を算出・判定できるシミュレーターや、おすすめの住宅ローンの紹介などが挙げられます。不動産購入のハードルを低めることに有効と言えるでしょう。

1-6. クラウドファンディング

クラウドファンディングは、主に不動産投資の際に使われています。高額な不動産の投資費用を大人数で分割し、投資家一人あたりの金額は少額からでも始めることができるシステムです。いわゆる、不動産事業を目的とした需要者と投資家をつなぐマッチングサービスとも言えるでしょう。

クラウドファンディングの不動産テック事業者には、少額からの不動産投資参入が可能なサービスも存在します。本来であれば不動産投資は多額のコストが必要ですが、クラウドファンディングを利用すればローリスクで投資することが可能となるでしょう。

1-7. 価格の可視化・査定

テクノロジーを用いたデータの収集・分析により、不動産の物件価格を査定し公表するサービスも提供され始めています。現在の不動産価格だけでなく、将来的な不動産査定額も算出することが可能です。

従来まで、住宅の市場価値を把握することは困難でした。しかし特定事業者より提供される莫大な不動産データをもとにした価格可視化・査定ツールの活用により、より正確な市場価値が判断できるようになります。結果として、不動産売買の意思決定を支援することが可能です。

1-8. シェアリング

不動産におけるシェアリングの活用法としては、自分の使っていないスペースを他人に貸し出すようなサービスが広まっています。例えば、家の空き部屋を旅行者に貸し出すサービスがすでに行われているところもあります。

働き方の多様化が進む近年では、シェアオフィス事業・サービスオフィス事業へと参入して市場拡大する特定事業者も存在しており、新たなサービス形態も提供され続けています。

1-9. リフォーム・リノベーション

リフォーム・リノベーションに関する不動産テックの働きは、主に情報の提供です。また、リフォーム業者とユーザーのマッチングサービスを行っている場合もあります。

特定事業者による代表的なサービスには、中古物件探しからリフォーム・リノベーションのデザインと施工までのサポートが挙げられます。中には、リフォーム・リノベーション後のインテリアコーディネートも行い、ワンストップサービスの実現に取り組む事業者もいます。

1-10. マッチング

不動産に関わる人と人とのマッチングにも、不動産テックが利用されています。お客さんと不動産の所有者はもちろん、リフォーム業者や税理士など不動産に関わるさまざまな人同士をマッチングさせるサービスが代表的な例です。

特定事業者は、各人同士に特化したマッチングサービスを提供しています。適切なマッチングサービスを利用することで、専門家に対する相談や手続きにかかっていた時間を大幅に短縮させることができるでしょう。

1-11. 物件情報・メディア

不動産情報や広告を各種メディアに掲載することも、不動産テックのサービスです。住宅情報だけでなく、オフィスやビルの情報をメディアに掲載しているサービスもあります。

インターネットが普及した近年、オンライン上で不動産情報の収集をする人は急激に増加しました。多くの事業者では物件情報ポータルサイトや情報サイト・メディアに、消費者向けの関連情報を掲載し、そのまま内覧予約まで行えるサービスが提供されています。これにより、顧客の物件探しにかかる時間・不動産会社の顧客対応・契約取引にかかる時間が大幅に短縮化されます。

2. 不動産業界が抱える3つの課題

主にインターネットなど情報技術の発展で、あらゆる業務が効率化された不動産業界には、まだまだ多くの課題が残ります。業界全体での生産性を向上するためには、現状の課題をまず理解する必要があるでしょう。

不動産テックの推進は、不動産業界の課題を克服する有効な方法です。下記に、不動産テックにかかわる重要な課題を3つ紹介します。

〇IT化の遅れ

多くの業界でIT化が進む一方で、不動産業界は顧客や取引先とのやり取りを未だに電話やFAXで行っているなど、IT化、いわゆるデジタル化に遅れをとっていることも現状です。2022年1月からは「電子帳簿保存法」が改正されるものの、IT化がまだ進んでいない不動産会社は、取引情報の保管方法の変更に対してスムーズに対応できない可能性があるでしょう。

〇不動産データベースの不備

従来のシステムでは、不動産の取引履歴やリフォーム歴、成約価格といったデータが一つのデータベースに集約されておらず、中古物件における取引の妨げ・空室の増加の一因となっていました。今後はあらゆる情報を集約できるデータベースの構築が課題となっています。

〇新しいニーズへの対応

近年では、人々の消費傾向が「モノ」から「コト」に変化している傾向です。この消費傾向の変化は、不動産業界にも大きな影響を与えます。例えば、バリアフリー住宅ではなく介護・福祉業界と連携して「24時間の介護サービスを取り入れた高齢者向け住宅」の開発などが挙げられます。このような新しいニーズへの対応は、不動産業界における大きな課題と言えるでしょう。

3. 不動産テックを活用する3つのメリット

不動産テックの代表的な効果には、マッチングにおいて不動産情報の流れをスムーズにするという点がありますが、他にも3つのメリットがあります。

不動産テックをうまく活用するためには、メリットを正しく把握することが重要です。

ここからは、不動産テックのメリットについてそれぞれ説明します。

3-1. ITによる情報の質や双方向性が向上する

不動産情報の取り扱いにテクノロジーを利用することは、情報の質や双方向性を向上させるメリットがあります。現在ではインターネットから誰でも物件情報を得られることが、代表的な例です。

不動産テックにより、不動産屋を介さない場合でも賃料や間取りなどの情報は簡単に取得できるため、より効率的に物件を選ぶことが可能となります。また、不動産屋が情報を専有する状態を解消することで、情報の透明性も高まります。

3-2. 不動産取引が活性化する

不動産テックの取り組みは、不動産取引の活性化とも大きな関係性があります。代表的な例にはVR技術により顧客に物件の内装を疑似体験してもらうことで、不動産に対する購入意欲を促進し、物件売買を活性化させるといった方法です。

3-3. 不動産業者に仲介してもらう必要がなくなる

従来の不動産取引では仲介専門業者の仲介が大半でしたが、不動産テックを利用することで取引の際に専門業者に頼る部分を減らすことができます。不動産テックによって賃貸人のニーズを独自に入手できるため、不動産情報の取得を専門業者に頼る必要がありません。

また、テクノロジーの発達により、情報の出し手と受け手の情報が公開されるため、悪質な業者も根絶され始めています。

4. 不動産テックを成功させるポイント

不動産テックは先進的な取り組みですが、会社としてはただ導入すればいいというわけではなく、取り組みを成功させるために押さえておくべきポイントがいくつかあります。

ここからは、不動産テックを成功させるために重要なポイントを大きく3つに分けて紹介します。

4-1. 積極的に情報収集し、自社に合いそうな製品・サービスを探す

不動産テックの主な働きの一つに、情報の透明化があります。不動産テックの取り組みが進むにつれて、借り手や消費者も不動産情報を得ることができるため、専門業者が持っている情報の絶対性は落ちることとなります。

不動産テックを成功させるためには、不動産業者側も今まで以上に積極的な情報収集を行い、スムーズに情報を活用することが必要です。

また、自社で一から開発しなくても、既にサービスや技術が提供されているケースも多々あります。なるべくスムーズに収集した情報を活用するためにも、自社に適した製品・サービスに絞って探すことがおすすめです。

4-2. 短い期間で試行運用、検証するサイクルを回す

不動産テックの成功率をさらに高めるためには、短い期間での試行運用、検証するサイクルを回すことも重要です。自社または距離が近い顧客にパイロット運用をしてもらい、ビジネスに適用可能か検証しましょう。

4-3. 自社のサービスに積極的に適用し、顧客・市場のフィードバックを得る

不動産テックを実際の業務に適用し、自社の利益に貢献できるゴールを目指しましょう。この際、人の手を介さず、システムやツール自体が付加価値・収益を生む仕組みに変えていくことを、「DX(デジタルトランスフォーメーション)化」と言います。

不動産テックの導入でIT化・DX化が進めば、さらなる業務効率化やビジネスチャンスの創出も期待できるでしょう。また業務効率化が進めば、不動産業界で活躍する人材・社員における「働き方の多様化」の実現も期待できます。

まとめ

不動産テックとは、不動産とテクノロジーを組み合わせて作られた言葉です。IT技術の発展が続く近年、不動産業界において不動産テックの活用は、現在抱えている業界課題の解決や業務効率化に大きく貢献するでしょう。

不動産テックを成功させるためには、積極的な情報収集ののち自社に適した製品・サービスを活用したり、短い期間での運用・検証サイクルを回したり、自社サービスに積極的に適用し、顧客や消費者からのフィードバックを得たりする必要があります。ここまでの内容を参考に、ぜひポイントを踏まえて不動産テックを導入してください。

コンシストでは、不動産管理の効率化を図る「不動産管理スケルトンパッケージ」だけではなく、AI、RPA、楽楽明細((株)ラクス)などのソリューションの提供により、不動産業務のIT化に対応が可能です。不動産テックを検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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