不動産業に関するコラム

テレワークに役立つシステムの種類|セキュリティ対策の考え方も
テレワークの生産性を高めるために、システムやツールの導入が有効であるとよく耳にするでしょう。しかし、生産性向上につながるシステムの種類や内容、見込まれる導入効果がどのようなものなのか、理解できていない人は少なくありません。
この記事では、テレワークの生産性向上につながるシステムに、どのような種類があり、どのような効果が見込めるのかを解説します。セキュリティ対策のアイデアにも触れているため、生産性の高いテレワーク推進を目指している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. テレワークの方法に応じたシステムの種類
システムやツールの導入を、効果的にテレワークの生産性向上につなげるためには、テレワークの方法に応じて最適なシステムを選択することが重要です。テレワークの方法に応じた作業内容、作業場所、求められるセキュリティの程度などによって、おすすめのシステムは異なります。まずは、どのようなシステムの選択肢があるのかを把握しましょう。
ここでは、総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」を参考に、5種類のシステムについてポイントを解説します。
(参考:総務省「テレワークセキュリティガイドライン第4版」)
1-1. リモートデスクトップ方式
リモートデスクトップ方式とは、職場のパソコンをテレワーク端末で遠隔操作し作業する方式です。テレワーク端末は遠隔操作ツールに過ぎず、作業は職場のパソコン内で行います。そのため、テレワーク端末には作業に関するデータが保存されず、職場と同じ環境で作業が可能です。
リモートデスクトップ方式には、下記のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | ・テレワーク端末として、パソコンに限らずスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末も使用できる |
---|---|
デメリット | ・リモート操作するためには、対象となる職場パソコンの電源を入れておく必要がある ・インターネット回線の通信速度が遅いと動作が遅くなる |
1-2. 仮想デスクトップ方式
仮想デスクトップ方式とは、サーバー上で各自の仮想デスクトップを管理し、テレワーク端末からサーバーにアクセスして作業する方式です。作業はサーバー上で行われるため、アクセス時に使用した端末にデータは保存されません。
仮想デスクトップ方式のメリット・デメリットは、下記のとおりです。
メリット | ・認証を設定できるため、高いレベルのセキュリティを実現できる ・ストレージやOSなどをサーバー側で一元管理できるため、業務用パソコンの管理業務を効率化できる |
---|---|
デメリット | ・自社でサーバーを導入・維持するため、初期費用が高い ・サーバーが停止すると、すべての仮想デスクトップで業務ができない |
1-3. クラウド型アプリ方式
クラウド型アプリ方式とは、クラウドサービス上のアプリに接続することで業務を行う作業方式です。作業はクラウド上で行いますが、テレワーク端末へのデータ保存も行えます。アプリで作業する限りは、職場の内外を問わず同じ画面が表示され、同じ環境で作業することが可能です。
メリット | ・インターネットの回線速度が、ある程度遅くても使用できる ・初期費用が比較的安く済む |
---|---|
デメリット | ・テレワーク端末へデータ保存などが行えるため、テレワーク端末の紛失時にデータ漏洩リスクがある |
クラウド型アプリ方式のセキュリティレベルを高めたものに、セキュアブラウザ方式があります。特別なブラウザを経由させることで、テレワーク端末へのデータ保存や印刷などを制限できることが特徴です。セキュリティを強化したい場合に選択するとよいでしょう。
1-4. アプリケーションラッピング方式
アプリケーションラッピング方式とは、ラッピングアプリをテレワーク端末へインストールすることで、端末に業務データを保存させない方式です。業務で使用するデータやアプリは、ラッピングアプリを経由して起動することで、端末に業務データを残さず作業することができます。アプリを閉じれば、データも削除される機能があるため安心です。
アプリケーションラッピング方式のメリット・デメリットは、下記のとおりとなります。
メリット | ・テレワーク端末に業務の作業データを残さずに済む ・インターネットの回線速度がある程度遅くても使用可能である |
---|---|
デメリット | ・アプリによっては動作しない可能性がある ・初期費用や準備時間がある程度は必要である |
1-5. 会社PC持ち帰り方式
会社PC持ち帰り方式とは、その名のとおり、会社で業務に使用している端末をテレワーク先に持ち出す方式です。職場でいつも使っている端末をテレワーク端末にするため、職場と同じ作業環境で仕事ができます。ただし、多くのデータがテレワーク端末に保存されることから、情報漏洩リスクが高く、厳格なセキュリティ対策を取っておく必要がある方式です。
会社PC持ち帰り方式には、下記のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | ・初期費用が、ほとんどかからずに済む ・端末を持ち出せば、すぐにテレワークが行える |
---|---|
デメリット | ・多くのデータがテレワーク端末に保存されるため、厳格なセキュリティ対策が必要である ・職場の端末を持ち出しておかなければ、テレワークできないため急遽の在宅勤務などフレキシブルな対応は難しい |
このように、各方法のメリット・デメリットを把握した上で、コストや機能性、セキュリティ面の特徴も加味しながら自社に合ったテレワークの検討をしていく必要があるでしょう。
■各テレワーク方式におけるコスト・機能性・セキュリティ比較表
リモートデスクトップ方式 | 仮想デスクトップ方式 | クラウド型アプリ方式 | アプリケーションラッピング方式 | 会社PCの持ち帰り方式 | |
---|---|---|---|---|---|
コスト | △ PCの用意が必要。 |
× PCの用意が必要。 仮想デスクトップ基盤の用意が必要。 |
△ PCの用意が必要。 |
× PCとコンテナ環境の用意が必要。 |
○ ターミナルサーバーのみ導入すれば良い。 |
機能性 | △ 回線が遅い場合に操作性が悪くなる。 |
△ 回線が遅い場合に操作性が悪くなる。 |
△ 回線が遅い場合に操作性が悪くなる。 |
○ 会社とほぼ同じ操作性で業務できる。コンテナの作りによっては使えないアプリもある。 |
◎ 会社と同じ操作性でストレスなく業務できる。 |
セキュリティ | ○ データ漏洩のリスクが低い。 |
◎ 管理者がテレワーク端末を管理しやすい。データ漏洩のリスクが低い。 |
△ クラウドアプリのデータをテレワーク端末に保管できてしまう。 |
○ データ漏洩のリスクが低い。 |
× テレワーク端末に会社データがあるため、データ漏洩のリスクが高い。 |
※テレワーク端末は会社支給品の場合を前提とし、私物PCを利用する場合はセキュリティ対策が原則できないため、比較評価対象外とします。
2. テレワーク・システムはセキュリティ管理が重要
テレワークの推進・システムの導入に際しては、セキュリティ管理を徹底しましょう。テレワークには、下記のようなセキュリティ上の脅威・脆弱性があります。
脅威 | マルウェア | 端末の紛失・盗難 | 重要情報の盗聴 | 不正アクセス |
---|---|---|---|---|
脆弱性の例 | ・ウイルス対策ソフトを導入していない ・アプリの更新を怠っている ・偽サイトにアクセスしてしまう |
・カフェで端末を長時間放置したまま離席する ・バックアップを実施していない |
・無線LANの設定に不備がある ・画面をのぞき見られてしまう |
・推測されやすいパスワードを使用している ・ログイン方法のメモを適切に管理していない |
2-1. テレワークで効果的なセキュリティ対策
ここでは、テレワークにおけるセキュリティ上の脅威・脆弱性に効果的なセキュリティ対策を3つ紹介します。
■社内ガイドライン・ルールの策定
効果的なセキュリティ対策を行うためには、テレワークを行う従業員のセキュリティ意識の向上が欠かせません。そのためにも社内ガイドライン・ルールを策定し、その内容について研修などを通じて従業員に情報共有することが必要です。
ガイドラインには、会社として情報セキュリティをどのように考えるのか、基本理念や情報管理体制を示します。ルールには、パスワードの管理方法や情報・資料の持ち出し時のルールなど、遵守すべき行動内容を具体的に整理しましょう。
■アクセス管理・暗号化技術の活用
セキュリティ対策には、情報技術を適切に活用することも重要です。アクセス管理を徹底することで、許可した人や端末しか情報にアクセスできなくなります。暗号化技術を活用し端末に保存するデータを暗号化しておけば、万一、端末を紛失した際も被害を最小限におさえることが可能です。
ウイルス対策やVPN(Virtual Private Network)を導入することで、インターネット接続によるリスクも軽減しておきましょう。
■セキュリティの強固なシステムの導入
セキュリティの強固なシステムを導入することも効果的です。株式会社コンシストの提供するテレワーク環境導入サービスを活用することで、手厚い導入支援で簡単に企業のニーズや業務内容にあったテレワーク環境を構築できます。USBキー型、端末固定型、社内LAN延伸型など、さまざまなスタイルが選べることも魅力です。
⇒ インフラソリューション「テレワーク環境導入サービス」についてはこちら
また、コンシストでは不動産関連企業様向けへに「不動産管理スケルトンパッケージ」のご提供も行っております。クラウドに対応しセキュリティ面も万全のため、テレワークにも安心してご利用いただけます。
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まとめ
テレワークの生産性を向上させるためには、テレワークの方法や作業内容、求められるセキュリティなどに応じて最適なシステム・ツールを選択することが重要です。また、どのようなシステムを選択するにしても、セキュリティ対策の徹底が不可欠でしょう。
テレワークの推進や生産性の向上をはかりたい場合は、当記事を参考にシステム・ツールの導入を検討してください。また、セキュリティ対策についても、この機会にぜひ確認してみてはいかがでしょうか。
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