不動産業界の新型コロナウイルス感染症による賃料の減免対応

新型コロナウイルス感染症による経済への影響が拡大する中、不動産業界でも対応が迫られています。多くのテナント・借主の経営環境が逼迫し、賃料の減免要請が相次いでいるためです。

今回は、新型コロナウイルスに関する各企業との減免対応、その他の商業ビル・物件等での賃料減免削減・賃料支援対応について徹底的に解説します。あわせて、政府や自治体による支援・動きも説明しているため、テナントへの減免対応を検討している方はぜひご覧ください。

1. 新型コロナウイルスによる各企業の減免要請や対応

新型コロナウイルスの拡大、政府による緊急事態宣言を受け、不動産会社の中には、保有する不動産の賃料免除や減額対応を検討するケースが出てきています。

まずは、イオンなどの商業施設や大手デベロッパーにおける減免対応を紹介します。各社の対応状況を通じて、不動産業を営まれている企業への賃料減免要請への判断のご参考としてください。

1-1. イオン

専門店街を抱えるイオンモール、「イオン」ブランドなどの店舗を運営するイオンリテールは、賃料算定における月間最低保証売上高の撤廃を発表しています。

イオンモールとイオンリテールの賃料算定は、テナント売上と連動する算定方式で、3月と4月が対象月でした。賃料負担を軽くすることで、コロナ下における入居者の減額要請に応えています。

1-2. 三菱地所

「丸ビル」や「新丸ビル」を所有する三菱地所も、テナント支援を検討している企業です。三菱地所では、コロナ対策により事業収入が減少している商業店舗・テナント入居事業者を対象に、特例措置として賃料猶予を検討しています。

三菱地所の持つビルには、レストランやカフェなどの商業テナントも多く、新型コロナウイルスによる被害は甚大です。三菱地所では、賃料支払いが難しくなるテナントに一定期間支払い猶予を設けることで、テナント経営をサポートする方針をとっています。

1-3. 渋谷パルコ

パルコは、休業や短縮営業を実施している全館が減免対応の対象です。したがって、臨時休業を行っている渋谷パルコも、賃料を減免対応する範囲に入ると想定されます。

減免対応の内容は賃料の減額措置で、3月分のテナント賃料から対応されています。減額措置が適応されるテナントの条件、減額する金額については、各館ごとにルールや規定が定められます。なお、パルコにおける賃料契約の内容・減額金額については、非開示です。

1-4. ルミネ

多数のファッションビルを有するルミネは、3月分の最低保証賃料を半額に減免する対応をとりました。ルミネの賃料は、売上に連動した賃料算定と、最低保証賃料の設定による徴収方法です。

ルミネでは、上記のうち最低保証賃料を減額することにより、コロナ影響下で売上が減少した店舗・施設を支援します。なお、最低保証の対象となる売上が1/2を超えてしまった場合には、上記の限りではありません。売上に応じた賃料(歩合賃料)が徴収されます。

1-5. セブン-イレブン・ジャパン

セブン-イレブン・ジャパンは、コンビニが立地している土地の所有者に対して、賃料減額支援を要請しました。セブン-イレブン・ジャパンでは、契約形態により土地の所有状況が異なっています。

加盟店の多くが結ぶ「Cタイプ」と呼ばれる契約は、本部が土地の所有者と賃貸契約を締結する形態です。本部が土地所有者に減免要請を行うことで、新型コロナウイルス対策による売上減少へ対応しています。

2. その他の商業ビルなどでも個々で減免対応や要請が行われている

賃料を減免する動きは、上述の大手デベロッパーだけに見られるものではありません。その他の商業ビルでも、個々で賃料・家賃を値下げする動きが広がっています。

例えば、広島県で飲食ビルを持つ企業では、3月のテナント賃料を2割、4月の賃料を6割減免しました。また、ある宮城県の不動産企業では、5月の賃料を5割減免し、6月は3割、7月は2割を減免する予定です。

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くのテナントは休業を迫られ、多額の売上を失っています。テナントのオーナー企業は賃料を減免することで共存共栄を図っていますが、オーナー企業自体の経営をも圧迫している状況です。

3. 政府や自治体による不動産所有者への支援や動き

減免対応にて大きな経営負担を抱える不動産所有者に対し、政府や自治体は支援の動きを見せています。賃料の減免対応は多額に及ぶと想定され、個々の企業・事業者のみで吸収できる負担ではありません。

ここからは、国土交通省が公表している支援策や、各自治体で実施されている支援制度について紹介します。

3-1. 国土交通省による各団体への要請と対応

国土交通省は、新型コロナウイルスの影響を考慮し、令和2年3月31日付けで賃料支払いについての猶予要請を行いました。対象となる団体は、不動産協会や全国住宅産業協会などの不動産関連団体で、飲食店などの賃料支払いへ柔軟な措置をとることを求める内容です。

加えて、ビル賃貸業を営む業者に対し、新型コロナウイルスに関する支援策も公表されています。国土交通省から公表されている支援措置の内容は、下記の通りです。

①免したテナント賃料の損金計上
②国税・地方税・社会保険料の1年間納税猶予
③固定資産税、都市計画税の減免
④金融機関への返済猶予に関する柔軟な措置
⑤最大200万円の持続化給付金
⑥セーフティネット保証制度の融資対象への追加

(出典:国土交通省「ビル賃貸事業者の皆様へ~新型コロナウイルス感染症に係る支援策~」)

まず、テナントの賃料を減額し、一定の条件を満たす場合には、「減免したテナント賃料を損金として計上」することが認められるようになりました。この支援により、従来は寄付金の扱いとなっていた減額対応による損害を、「損金」として扱うことが可能です。

また、テナント賃料を減免した場合、減額した金額は収入の減少として扱われる見込みとなっています。したがって、収入減少が条件の「国税、地方税、社会保険料の1年間納税猶予」が、減額対応業者にも適用される予定です。
同様に、売上が減少した中小事業者対象の「固定資産税、都市計画税の減免」の適用範囲ともなります。

そのほか、金融庁から銀行等の金融機関に対し、賃貸事業者の資金繰り支援が要請されました。この要請により、返済猶予などの相談が可能です。最大200万円の持続化給付金、セーフティネット保証制度など、給付金や借入債務の保証支援も行われています。

3-2. 各自治体による不動産所有者への支援

国だけでなく、各自治体でも不動産所有者への支援が実施されています。

神戸市では、新型コロナウイルスの拡大に伴い、中小企業などのテナント賃料を減額した不動産所有者に対し、軽減額の8割(最大200万円)の支援を実施予定です。
(出典:神戸市「定例会見 2020年(令和2年)4月23日」)

また、千葉市では「テナント支援協力制度」が創設されました。休業要請を受けたテナントの賃料を減免したオーナーに対し、軽減額の8割(1テナントにつき最大50万円)が支援されます。
(出典:千葉市「テナント支援協力金制度のご案内」)

このように、国や各自治体からはさまざまな支援が発表され、かつ今後も拡大予定です。
国や各自治体の新型コロナウイルス関連情報に注意を払い、該当する支援は積極的に利用しましょう。

4.減免対応をした場合の経理処理・システム対応

新型コロナ対応による賃料の減免等を行った場合には、以下の経理処理が必要となります。貴社のシステムで対応が可能か確認することをお勧めします。

・賃料の減額…実質的には契約変更とみなされ、損金計上(又は売上の返戻)が可能です。
 賃料売上  100万円 / 未収金 100万円 または
 その他費用 100万円 / 未収金 100万円

・賃料の減免(債権の放棄等)…臨時要因に基づくものとして特別損失で処理を行うことも考えられます。
 貸倒損失 100万円 / 未収金 100万円

・売上のマイナスとするか、費用(販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失のいずれか)に計上するかは貴社ご担当の会計士・税理士に確認をしてください。

※なお、消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けている賃料の場合、そのまま旧税率で処理を行うことが可能です。詳細は下記国税庁の文書をご参照ください。

参考情報:国税庁(国税における新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ 令和2年3月)
・賃貸物件のオーナーが賃料の減額を行った場合〔4月30日更新〕
・賃料の減額を行った場合の消費税率等の経過措置について〔5月15日追加〕

5. 減免機能を管理するには?

コンシストが提供する賃貸管理システムの「スケルトンパッケージ」には、減免機能が備わっています。
システムの減免機能を活用することにより、賃料増額・減免情報を管理することが可能です。

ほかにも、賃貸管理システム「スケルトンパッケージ」では、下記のような減免機能を利用することができます。

・賃貸契約情報という機能で減免の登録ができる
・賃貸借契約の期間内に減免期間を指定する
 (月の途中での開始、終了による日割計算も可能)
・減免期間中に月額固定賃料の減額を適用できる
 (請求項目も複数対応可能)
・減額だけでなく減免期間の終了後、金額を増額しての請求も可能

減額対応では、各テナントの事情に合わせた方策など、複雑な処理がつきものです。新型コロナウイルス収束後に期間限定で、減免した賃料を増額する対応を検討しているオーナーもいます。
「スケルトンパッケージ」なら、雑多な実務を簡便にシステム管理することができるでしょう。まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

新型コロナウイルスの拡大を受け、自粛や休業要請を受けたテナントの売上減少は甚大です。テナントからの要請もあり、イオンや三菱地所などの大手企業、その他の商業ビルにおいても、減免対応を実施しています。

政府や各自治体では賃貸業者への支援策を開始しているため、減免対応を行う際には、各支援策も判断根拠となるでしょう。また、各テナントの減免管理を簡便化したいと考えているのであれば、ぜひ賃貸管理システムの「スケルトンパッケージ」を利用してみてください。

不動産管理業務でお悩みの方、
まずはご相談ください。

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