不動産業に関するコラム

不動産業界にも対応したコロナ対策の助成金や融資まとめ
新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の発令に伴い、さまざまな企業が売上等に影響を受けています。その影響は、不動産業界においても同様です。
売上の減少に伴って助成金や融資の活用を検討しているものの、どういった助成金や融資があるのか、情報が複雑でわからない人も少なくありません。
そこで今回は、不動産業界にも対応したコロナ対策の助成金や、融資について解説します。事業資金の確保のため、助成金や融資のご利用をお考えの方は、ご参考にしてください。
※この記事は2020年4月28日時点での調査結果を掲載しています。
目次
1. 不動産業界にも対応したコロナ対策支援一覧
現在、日本では数多くの自治体等からコロナ対策支援が行われています。支援の種類は、助成金から融資までさまざまです。
助成金や融資の中には、不動産業界にも対応したものが存在しています。会社を存続させるためにも、このような支援を積極的に活用しましょう。
ここでは、不動産業界にも対応したコロナ対策支援の一覧を解説します。
1-1. 雇用調整助成金の特例
厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症によって売上低下等の影響を受けた対象事業主に向けて、家賃負担の補助・助成金の交付を主とした特例措置を実施しています。
・新型コロナウイルス感染症によって業況環境が悪化し、事業活動が縮小せざるを得なくなっている
・最近1ヶ月間の売上高が前月同期比5%以上減少している
・休業等を実施し、休業手当を支払っている
中小企業の助成率:4/5~9/10
上限:1人1日につき8,330円/年100日まで
(出典:厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」)
申請の流れは以下の通りです。
1. 本社もしくは事業所所在地の都道府県労働局、またはハローワークで必要申し込み書類の提出を行う
2. 厚生労働省による要件を満たしているか審査を受けたうえ、交付が行われる
1-2. 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
この助成金では、テレワークを支援するため、新しくテレワークの導入を行う中小事業者向けに助成金が交付されます。
・新型コロナウイルス感染症対策のためテレワークの新規導入を行う企業
上限:1企業につき100万円
(出典:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」)
申請の流れは以下の通りです。
1. テレワーク相談センターを通じて厚生労働省へ交付申請書の提出を行う
2. テレワーク実施のための事業を行う
3. 支給申請書の提出を行う
1-3. 新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫では、新型コロナウイルス感染症によって売上が低下し、経営存続が危ぶまれる企業を対象に融資を行っています。
・新型コロナウイルス感染症により、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年同期比5%以上減少している
・中長期的な観点から、業績が回復し発展も見込まれる
利子:1億円までを限度とする
・融資後3年目まで...基準利率-0.9%
・融資後4年目以降...基準利率
(出典:日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付」)
申請の流れは以下の通りです。
1. 日本公庫支店の中小企業事業の窓口へ申し込みを行う
2. 日本公庫から審査を受ける
1-4. 新型コロナウイルス感染症特別貸付(商工中金)
商工中金では、新型コロナウイルス感染症による売上低下で、企業倒産の危機に立たされている中小企業に向け、融資での支援を行っています。
・新型コロナウイルス感染症により、最近1ヶ月の売上高が前年または前々年同期比5%以上減少している
中小企業:
貸出限度・・・20億円以内
残高・・・3億円以内
(出典:商工中金「商工中金の危機対応業務 ~新型コロナウイルス感染症の影響を受けている 中小企業の皆さまへ~」)
申請の流れは以下の通りです。
1. 商工中金で無料相談を行う
2. 必要申し込み書類の提出を行う
3. 商工中金による審査を受ける
4. 融資を受ける
1-5. 無利子・無担保融資
日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫において、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資を受けた中小企業を対象に行われる制度です。
・個人事業者:要件なし
・小規模事業者(法人):売上高-15%
・中小企業者(上記を除く事業者):売上高-20%
(出典:ミラサポplus中小企業向け補助金・支援サイト「特別利子補給制度(実質無利子)」)
上記対象者が「特別利子補給制度」の適用を受けると、その後3年は実質金利0%で融資を受けることが可能です。
1-6. セーフティネット保証制度
中小企業者がさまざまな理由により金融機関から事業資金を借り入れる際に、信用保証協会が公的な仲介人(保証人)となる「セーフティネット保証制度」があります。
セーフティネット保証制度には4号・5号の2つがあり、それぞれ支援の対象や保障額が異なります。
・新型コロナウイルス感染症等によって業況環境が悪化し、事業活動が縮小せざるを得なくなっている
・各事業所所在地の市町村から認定を受けたもの
・4号の場合・・・新型コロナウイルス感染症により最近1ヶ月の売上高が前年同期比20%以上減少しており、かつ、その後2ヶ月間の売上高が前年同期比20%以上の減少が見込まれる
・5号の場合・・・新型コロナウイルス感染症により最近3ヵ月の売上高が前年同期比5%以上減少している
5号の場合:借入債務の80%を保証
(出典:中小企業庁「セーフティネット保証制度 中小企業信用保険法第2条第5項及び第6項」)
申請の流れは以下の通りです。
1. 本社もしくは事業所所在地の市町村へ認定申請を行う
2. 事業資金の借入を希望する金融機関や信用保証協会に認定書を持参し、保証付き融資の申込を行う
1-7. 新型コロナウイルス感染症に関する危機対応相談窓口(日本政策投資銀行)
日本政策投資銀行では、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた企業の資金繰りを支援するため、危機対応業務に取り組んでいます。
全国の本店・支店にて対応しているので、ぜひ参考にしてください。
(出典:日本政策投資銀行「新型コロナウイルス感染症に関する危機対応相談窓口」)
2. 不動産業界にも対応した各都道府県のコロナ対策支援
ここまで、政府から行われている補助金や、融資等によるコロナ対策支援を紹介しました。
コロナ対策支援は政府からのみではなく、各都道府県からもそれぞれの手法で支援が行われている状態です。
ここでは、不動産業界も対象とした、各都道府県の具体的なコロナ対策支援について解説します。
2-1. ビジネスサポート販路開拓補助金(青森県)
青森県では、新たな販路開拓を行う中小企業や個人事業者を支援する目的のもと、補助金の交付を行っています。
・青森県内に本社もしくは事業所を有している
・最近1ヶ月の売上高が前年または前々年同期比10%以上減少している
・新たな販路向けの商品開発に要する経費:研究開発費・材料費・外注加工費・委託料
・広告経費:委託料・印刷費・運搬費・広告宣伝費
・ホームページの開設・充実強化経費:委託料
補助上限額:20万円
(出典:あおもり産業総合支援センター「ビジネスサポート販路開拓補助金(新型コロナウイルス感染症対策特別枠)の募集を開始します」)
申請の流れは以下の通りです。
1. 必要申込書類の提出を行う
2. 県による審査結果の通達が届く
2-2. 休業要請支援金(大阪府)
大阪府では、新型コロナウイルス感染症によって休業を余儀なくされ、売上高の減少が著しい中小企業・個人事業者に向けた補助金を交付しています。
・大阪府内に本社もしくは事業所を有している
・大阪府の「施設の使用制限の要請等」を受け、令和2年4月21日~5月6日までの全ての期間において、支援金の対象となる施設を休業する当該施設
・新型コロナウイルス感染症により令和2年4月の売上高が前年対比50%以上減少している
・個人事業者 50万円
(出典:大阪府「休業要請支援金(府・市町村共同支援金)について」)
申請の流れは以下の通りです。
1. 支援金対象・対象外施設一覧を確認する
2. 大阪府の公式サイトにて掲載されているWeb受付ページから受付登録を行う
2-3. 小規模事業者持続化給付金(東京都)
東京都では、小規模事業者を支援するために給付金を支給しています。
・コロナウイルスによる影響を受けつつも、販路開拓に取り組む事業者
・機械装置等費、開発費・資料購入費・借料等
・使用目的が業務に必要である経費、証拠資料等で支払金額を確認できる経費であることが条件
上限:50万円
申請の流れは以下の通りです。
1. 日本商工会議所に書類を提出する
2. 日本商工会議所によって確認が行われ書類の不備がないことを確認し次第、補助金が支給される
2-4. 長崎県緊急雇用維持助成金(長崎県)
長崎県では、新型コロナウイルス感染症の影響によって休業を行い、国から「雇用調整助成金」の支給決定を受けた県内事業所に向けて助成金の交付を行っています。
・長崎県内に本社もしくは事業所を有している
・新型コロナウイルス感染症の影響による休業で、国から「雇用調整助成金等」の支給決定を受けたもの
・助成限度額:1事業所につき100万円以内
・助成率
■国の助成率 2/3
■県の助成率 休業手当総額の7/30(国支給決定金額の7/20)
■国の助成率 4/5
■県の助成率 休業手当総額の1/10(国支給決定金額の1/8)
■国の助成率 9/10
■県の助成率 休業手当総額の1/20(国支給決定金額の1/18)
(出典:長崎県「長崎県緊急雇用維持助成金の申請手続きについて」)
申請の流れは以下の通りです。
1. 国の「雇用調整助成金」を申請し、「雇用調整助成金等の支給決定通知書」を受領する
2. 県の「長崎県緊急雇用維持助成金」を申請する
助成金や融資を活用したい場合は、それぞれの要項をしっかりと確認しましょう。
まとめ
ここまで、不動産業界も対応したコロナ対策の助成金や、融資について解説しました。
不動産業界においても、助成金や融資・信用保証制度等によって、コロナ対策支援が行われています。都道府県による助成金の交付はそれぞれで要件が異なるため、事業所の所在地の要件を確認したうえで、申請を行うようにしてください。
この記事を参考にして助成金や融資を活用し、コロナ禍を乗り越えましょう。
日々の業務をもっと楽に セミオーダー型の不動産管理

お役立ち資料ダウンロード
不動産業界の働き方改革方法のご紹介や、賃貸管理システムの選定方法や導入時に気を付けるポイントなど、不動産業界におけるお役立ち情報を公開しています。

お役立ち資料
ダウンロードはこちら