不動産業界にはERPの導入が効果的|メリットから導入事例まで

不動産業界には、「土地・物件情報の管理」や「入居者への対応」「自社の経営管理」など、幅広い業務内容があります。多種多様な業務内容を一括管理して、効率化するためには、ERPの導入が効果的です。

しかし、「ERPという言葉はよく聞くが、どのような意味があるのか分からない」という方は少なくありません。そこで今回は、ERPの基礎知識から、不動産業界で導入するメリット、具体的な導入事例まで詳しく紹介します。

1. ERPとは?

ERPとは、経営資源計画を指す「Enterprise Resource Planning」の略称であり、経営効率化を達成するための概念です。企業が持っている「ヒト・モノ・カネ」や「情報」といった経営資源を管理し、コントロールするマネジメント手法を指します。
経営資源を自社事業に適した形で一元管理して、「継続的に運用できる」「リアルタイムな経営判断に役立つ」形にすることが、ERPの目的です。

1-1. 基幹システムとの違い

ERPは、よく「基幹システム」と対比して紹介されます。基幹システムとは、企業が経営活動する上で重要となる、主要業務を支えるシステム全般のことです。基幹システムは、生産部門や販売部門といった部門・部署ごとの業務管理を最適化して、業務効率をアップする目的で運用されます。

ただし近年は、ERPといえば基幹システムを指しているケースが多くなりました。企業の主要事業を一元管理する、ERPの考え方を具現化した「統合基幹業務システム」が、ERPと呼ばれているためです。経営手法としての概念であるERPと、実際のシステムであるERPは、混同しないように注意してください。

ITシステムであるERPは、複数の基幹システムを軸に、情報系システムを組み込んで統合した形となっています。ERPに組み込まれる基幹システムは、以下の5つが代表的です。

●生産管理システム
●販売管理システム
●在庫管理システム
●財務会計システム
●人事給与システム

ERPにどの基幹システムを組み込むかは、企業の事業内容によって異なります。ERPを活用するためには、事業活動で必要となる基幹システムを正しく選択しなければなりません。

2. 今後の不動産業界で求められる対応とは?

現代はインターネットが誰でも利用できるようになり、不動産業においても大きな変化が見られます。顧客がインターネットから不動産情報を得られるようになったことで、物件や業者の比較・選別が簡単に行えるようになり、不動産業界は競争が激化しました。今後の不動産業界は、とくにIT部門において、変化する経営環境への対応が求められています。

不動産業界で求められる対応は、主に以下の4つです。

①モバイル機器への対応

スマートフォンなどの普及により、顧客がモバイル機器から情報にアクセスする機会が増えました。しかし、多くの不動産会社では情報基盤がパソコンであり、モバイル機器への対応は進んでいません。モバイル機器から素早く情報を取得できる環境は、営業担当者が見積もりを作成する際にも便利です。

②顧客対応力の向上

顧客はインターネットを活用して、物件情報を自ら調査・評価できるようになりました。そのため、顧客の要望や悩みに寄り添い、解決できる体制づくりが必要です。マーケティング力だけではなく、企業側から情報発信する販促も含めた、総合的な顧客対応力の向上が求められます。

③情報共有や業務プロセスの効率化

不動産業界では、現在も紙媒体の契約管理やFAXで資料を送信する慣習が残っています。情報伝達の遅さは、競合他社に遅れを取るだけではなく、顧客対応力も鈍化させてしまうため、密接な情報共有を図らなければなりません。

とくに支店や営業所を全国展開している企業は、店舗間で相互に情報共有できるシステムが重要です。さらに、業務プロセスを効率化して、部門・部署間で連携できる体制づくりが求められます。

④情報活用システムの改善

競争が激化している不動産業界では、業界全体のトレンドや顧客の傾向、不動産物件に関わるビッグデータが目まぐるしく更新されています。しかし、不動産業界はシステム改革に機敏ではなく、加速する情報速度に対応できていません。有益な情報をいち早く掴み、経営判断や分析に活用できるように、情報活用システムの改善が必要です。

3. 不動産業界でERPを導入するメリット

不動産業界に求められている経営環境への対応は、ERPを導入することで実現しやすくなります。不動産業界でERPを導入する具体的なメリットは、以下の4点です。

①データ連携によりデータの一元管理や業務の統合管理が可能になる

ERPの特徴は、データ連携によって入力データが素早く全体に反映されて、一元管理ができることです。基幹システムごとに業務データを入力する必要がなく、入力データと関連するデータは全て連携されているため、部門・部署をまたいだ業務統制ができます。
モバイル機器からアクセスしても、一元管理されているデータから素早く情報を取得することが可能です。

②さまざまな業態への統合業務ができる

一口に不動産業といっても、開発会社・仲介会社・管理会社といった異なる業態が存在します。ERPでシステムを統合するメリットは、各業態に適した基幹システム・機能が決められる点です。業態に合わせたERPパッケージも多く販売されているため、自社の業態に適したERPを導入できます。

③業務のクオリティを底上げできる

ERPの導入でデータの一元管理が可能になると、情報共有が素早く行われて、申し送りや確認作業が不要となります。情報の重複登録といったミスがなくなり、連絡待ちで業務がストップすることもありません。
また、業務プロセスが標準化されることで、担当者のスキルに依存しない体制を作れるようになり、業務のクオリティを底上げできます。

④ヒトやモノ、カネの動きが見えるようになる

ERPは、各基幹システムを一括管理できる、管理機能が備わっています。そのため、バラバラの基幹システムでは把握しきれなかった「ヒト・モノ・カネ」の動きが、全体像として把握可能です。物件情報・顧客情報・オーナー情報などの情報をリアルタイムで抽出して、経営判断に素早く活かせます。

4. 不動産業界におけるERPの導入事例を紹介

不動産業界で実際にERPを導入した企業の事例を3つ紹介します。

【事例1】データ入力の業務効率がアップ

A社では、アパート・マンションの賃貸管理を表計算ソフトで行っていましたが、データ管理上の確認・転記に時間を取られてしまい、会計やオーナー精算にも影響が出ていました。そのため、ERPを導入したところ、入力したデータが全てのシステムにすぐ反映されることで、業務効率の改善に繋がっています。
データを再入力する必要がなくなったことによりミスが減り、管理業務サービスの契約数も伸びました。

【事例2】部門間の情報共有を高めて、顧客対応力を向上

B社の業態は不動産売買の仲介管理であり、販売管理の基幹システムを導入していました。しかし、顧客から担当者のレスポンスが遅いと不満の声が度々あり、業務全体の見直しが必要となっていたことが、ERP導入の理由です。
ERP導入により顧客管理が簡単になり、販売担当と事務方の情報共有がスピーディーに行われるようになりました。また、査定した物件の情報が素早く反映されるようになったことで、販促物提供のスピードも向上しています。

【事例3】ERPを導入することで業務負担が大幅軽減

C社は、賃貸管理業務の管理戸数が大きく増えたことで、各部門の業務量が負担となり、人員を増やすか、業務プロセスの改善を行うかの決断に迫られました。人員を増やすことでは解決にならないと考え、抜本的な改革として行った方法がERPシステムの導入です。
ERPで物件管理や入金管理の業務フローがシンプルになり、業務がスムーズに回せるようになっています。オーナーへ送るPMレポートの作成に掛かる手間が少なくなり、業務全体の生産性が向上できました。

まとめ

ERPとは、自社の経営資源を事業に適した形で運用する概念であり、現在では統合基幹業務システムを指すケースが多い傾向です。システムに入力したデータが素早くシステム全体に反映されるため、データの一元管理が可能となります。

不動産業界では企業間の競争が激化しており、顧客対応力の向上など現代に即した経営環境への対応が求められている状況です。不動産業界が抱える課題に対する解決策の一つとして、ERPの導入を検討してはいかがでしょうか。

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