ファシリティマネジメントとプロパティマネジメントの違いを徹底解説

不動産業界に携わっている方なら、不動産経営や運営管理、委託管理に欠かせない「ファシリティマネジメント(FM)」と「プロパティマネジメント(PM)」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。

ファシリティマネジメントとプロパティマネジメントは、どちらもクライアントから預かった大切な不動産物件を管理・委託するうえで必要となる手法のことです。それでは、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

当記事では、ファシリティマネジメントとプロパティマネジメントの言葉の意味と必要性について解説します。また、どのような業務がそれらにあたるのかについても詳しく説明しているため、不動産の管理を行っている方や、不動産を経営している方は、ぜひご覧ください。

1. ファシリティマネジメント(FM)とは?

冒頭で説明したように、「ファシリティマネジメント」も「プロパティマネジメント」も広義では「不動産物件を管理する手法」を指します。では、両者の違いはどの部分にあるのでしょうか。

「公益社団法人 日本ファシリティマネジメント推進協会(JFMA)」では、「ファシリティマネジメント(Facility Management)」を次のように定義しています。

ファシリティマネジメント(FM)とは、「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」のことです。

(引用:JFMA 公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会「FMとはどのようなものか」 / http://www.jfma.or.jp/whatsFM/

ここでいう「施設とその環境」の中には、土地や建物はもちろん、内部の設備・什器・備品、そして執務空間や居住空間といった環境全般も含まれます。
「ファシリティ(facility)」とは、英語で「施設」「設備」のことです。つまり「ファシリティマネジメント」は、不動産物件を管理の中でも、ビルやマンションなど施設・設備の管理に関わる部分を指します。この管理手法の概念は、1970年代にアメリカで生まれました。

ファシリティマネジメントは、具体的に以下のような設備管理・施設管理業務を行います。

【ファシリティマネジメントの具体例】


稼働できていない不動産 ⇒ 他業態に転換し、有効活用する
入居率が低い賃貸物件 ⇒ 設備や規約などをアップデートし、入居率を上げる
維持費ばかりがかかる古いビル ⇒ 取り壊して、土地を売却する
移動に時間がかかる分散型のオフィス ⇒ 拠点を一カ所に統合し、業務を効率化する
客足が低迷している施設 ⇒ リノベーションを行い、付加価値を作り出す

上記の業務を行うことにより、物件を利用している方にとって快適な施設を提供することが可能です。

1-1. ファシリティマネジメントの必要性

ファシリティマネジメントを行う必要性は、以下の通りとなります。

  • 固定費を大幅に抑えるため
  • 施設の保全や修繕にかかるコストを抑え、資源の収益性を上げるため
  • 施設や建物の品質や価値を高め、より収益を確保できるプランを考えるため

ファシリティマネジメントは、保有している不動産の収益を最大化するために、物件の施設や設備といった形あるものからアプローチする経営戦略です。ファシリティマネジメントを怠ると、せっかく持っている資産を有効活用できず、経営資源を無駄にしてしまう可能性があります。

たとえば、かつて多額の利益を生み出した有名旅館でも、老朽化した建物をメンテナンスできていなければ、客足が途絶えて維持費ばかりがかかる赤字物件になりかねません。
施設や建築物の価値を高め、利益を上げるためにも、ファシリティマネジメントを行う必要があります。

2. プロパティマネジメント(PM)とは?

「プロパティマネジメント(Property Management)」は、不動産管理業務において、物件に関わる管理業務全般を意味します。「プロパティ(property)」は、英語で「物件」「財産」「土地」のことです。直訳すると「物件管理」となります。

オーナーに代わって、物件の資産価値を維持・向上させる為の業務全般のことをさし、業務内容はさまざまです。
たとえば、以下のような業務がプロパティマネジメントにあたります。

【プロパティマネジメントの具体例】


● テナントや入居者の募集・契約締結・契約更新・退去手続き
● 物件希望者への物件案内や仲介業務
● 賃料や家賃の集金・延滞した場合の督促業務
● 契約者からのトラブルやクレームの対応
● 建物の巡回や点検、清掃などの維持管理
● 物件の工事や修繕、設備更新の見積依頼・発注
● 所有者へのコンサルティングや税務・法務のサポート

上記の例から、物件を安定して稼働させるために必要な日々の業務が、プロパティマネジメントであると言えます。

2-1. プロパティマネジメントの必要性

多くの物件を保有する不動産会社や不動産投資家は、オーナー自らがこれらの業務を全て行うことは困難です。そのため、複数の物件をまとめて代行できる不動産管理会社やプロパティマネジメントを行う会社に、業務管理を依頼しています。

プロパティマネジメントは、経営計画にもとづいて正しく不動産資産を運用・活用していくために必要不可欠です。一つ一つの業務は細かいですが、その積み重ねが資産の価値を支え、価値を高め、収益を生み出し続けていく糧となります。

プロパティマネジメントが立ち行かなければ、物件の稼働率や価値が下がり、収益も低下します。そのため、以下のような知識やノウハウが必要です。

  • ・空室を減らして稼働率を上げるリーシングのノウハウ
  • ・保有している資産の価値を上げる(下げない)ための管理方法
  • ・時代のニーズに合わせた資産の組み換えノウハウ
  • ・収益を生み出すリフォームや資産組み換えができる提案力

近年、ますますプロパティマネジメントの重要性が見直されています。プロパティマネジメントという時流やブームに合う管理手法を使うことで、より収益化を望めるため、まだ取り入れていない方は、ぜひ導入すると良いでしょう。

3. FMやPMを行うなら不動産管理システムの導入がおすすめ!

不動産の設備管理業務や資産管理をしていると、以下のような問題が発生しがちです。

物件管理
工事管理
点検管理
提出書類作成
書類管理
決裁管理
・営業所ごとに別々に物件を管理していて、すぐにデータを引っぱり出せない
・担当者しか工事の詳細を把握できていない
・情報が整理できておらず、スケジュールや進捗の確認が難しい
・大量に検針メーターや設備機器のあるビルの管理が大変
・手作業で作成しているPMレポート作成に時間がかかる
・書類や契約書が紙ベースで、探すのに時間がかかる
・営業所ごとのデータを共有できておらず、書類送付の手間が発生する
・決裁のフローが不明確で、承認までに時間がかかる

上記の表から分かる通り、管理物件が増えるごとに必要な管理業務も増加し、事業規模が大きくなるほど管理がより煩雑となります。

このような悩みを解消したいなら、不動産管理システムを導入することも一つの方法です。不動産管理システムを導入することで、毎月オーナーへ報告するPMレポートを一括出力できたり、営業所ごとの書類や契約書、取引先情報などを全て一元管理したりできます

より効率的にFM・PMを実施できれば、本来の業務のみに集中できるようになり、より少ない時間や人員で収益を上げることが可能です。

4. まとめ

「ファシリティマネジメント」と「プロパティマネジメント」は、どちらも不動産を管理するマネジメント方法という意味では共通です。しかし、それぞれ業務内容は異なります。

いくら綺麗な施設でも、ずさんな管理をしていては魅力的な物件とは言えません。また、いくら多数の人員を割いて丁寧な対応・サービスをしていても、しっかりと利益が得られなければ魅力的な物件とは言えないでしょう。

最近では、取引先情報などを全て一元管理できる不動産管理システムも用意されています。不動産経営をしている方は、ぜひ今回の記事を参考に、ファシリティマネジメントとプロパティマネジメントを意識し、見直してみてはいかがでしょうか。

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