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不動産業のコンプライアンスとは?具体的な違反内容を徹底解説!

事業内容に限らず、コンプライアンスの徹底は企業の経営には欠かせません。企業がコンプライアンス違反を起こすと、社会的な信用を失い、最悪の場合は倒産に至ることも考えられます。

不動産業者が行う取引は、法令上の取り決めが複雑であるため、コンプライアンス違反が起こりやすい傾向があります。そのため、不動産業に従事する人は、日々の業務において法律や企業倫理の観点から見て、問題がないのかを常に意識しなければなりません。

今回は、不動産業で起こりやすい「コンプライアンス違反の例」や「コンプライアンス違反を防ぐための組織的な取り組み」について解説します。

1. 不動産業におけるコンプライアンスとは?

コンプライアンスとは、一般的に「法令順守」と訳されますが、法律だけを守れば良いというものではありません。個別の法律はもちろんのこと、法令として条文にはない社会通念上の倫理・道徳も守る必要があります。

例として、コンプライアンスの観点から「個人情報の保護」について考えてみましょう。企業に個人情報の適切な管理を義務付けた「個人情報保護法」の対象は、5,000人分以上の個人情報を保有する事業者です。
「法律だけを守る」という観点から見れば、5,000人分に満たない個人情報を保有する企業では、慎重に個人情報の管理を行う必要がないと判断できます。

しかし、コンプライアンスが含まれる「社会通念上の適切な倫理」という観点では、5,000人分に満たない個人情報を保有する企業も個人情報の流出が起こらないように、厳重に管理しなければなりません。
仮に、数人分の個人情報が流出した場合でも、現実には「企業イメージ低下による売上の減少」や「業界団体からの処分」など社会的制裁を受ける可能性があります。

企業は、法律違反を行わないことを前提に、社会通念上の倫理や道徳を守らなければなりません。特に、不動産業者が扱う取引は、一度の取引で大きな金額が動き、顧客の人生を大きく左右する可能性があります。
そのため、法務担当者だけではなく、従業員1人ひとりが常日頃からコンプライアンスに違反しないように細心の注意を払うことが大切です。

2. 不動産業で起こりやすいコンプライアンス違反

それでは、不動産業界において、どのようなコンプライアンス違反が実際に起こりやすいのでしょうか。不動産業者が注意すべきコンプライアンス違反としては、次の3つがあります。

  • ●個人情報の漏えい
  • ●重要事項の説明不足
  • ●鍵の未交換

これらのコンプライアンス違反は、顧客に与える損害が大きいことが特徴です。

2-1. 個人情報の漏えい

不動産業者には守秘義務があり、業務上知り得た情報を口外してはなりません。守秘義務を破り、個人情報を外部に漏えいする代表的な例としては、既存の入居者の情報を誤って顧客に伝えてしまうケースがあります。

例えば、物件営業の際にセールストークとして、「このマンションには、芸能人の〇〇が住んでいる」という情報を顧客に漏らしてしまうというケースです。
顧客に口頭で入居者の情報を漏らすケースだけではなく、従業員個人が管理するSNSで情報を漏らすケースもあります。家族や友人だけがアカウントをフォローしている場合でも、情報が拡散されるケースがあるため、SNSに守秘義務のある情報を投稿してはなりません。
過去には、物件探しに来た芸能人の情報を本人の許可を得ずに、SNSに投稿したことで、不動産業者が謝罪に追い込まれたケースもあります。

不動産業者が扱っている個人情報は、住所や電話番号など個人の生活実態や住居を特定できるものです。顧客の住所や電話番号が外部に流出することで、ストーカーなどの深刻な被害に繋がる可能性があるため、個人情報の取り扱いには慎重を期す必要があります。

2-2. 重要事項の説明不足

不動産業者が顧客と契約を結ぶ際は、締結前に「重要事項の説明」が義務付けられています。「重要事項の説明」は、たとえ顧客が省略を希望した場合でも、省略できません。

不動産の取引には、大きな金額が動き、複雑な法律上の手続きも伴います。そのため、顧客の正しい判断を助けるために、専門知識を持つ担当者が契約前に十分な説明を行わなければなりません。

契約を締結する前に顧客に対して行う「重要事項の説明」は、以下のルールにもとづく必要があります。

  • ●必ず顧客と対面で行う
  • ●宅地建物取引士(宅建士)の資格を持った人が行う
  • ●説明時は、宅建士の免許証を顧客に提示する
  • ●事故物件(過去に死亡事故や自殺、事件が起こった物件)については、その旨の説明をする

「重要事項の説明」は、宅建士の資格を持った人が、必ず対面で行わなければなりません。メールや郵送で顧客に書類を送付したり、電話で説明したりするだけでは、「重要事項の説明」を行ったことにはならないため、注意しましょう。

2-3. 鍵の未交換

賃貸物件において居住者が変更する場合は、不動産業者が鍵を新しいものに交換する必要があります。前の入居者が鍵を複製して引き続き所持していたり、第三者に合鍵として渡していたりすると新しい居住者の部屋に無断で侵入される可能性があるため、鍵を交換しなければなりません。

過去には、マンションを管理している不動産業者が鍵の交換を怠ったことで、部屋への不法侵入による窃盗事件を招いたことがあります。 このようなトラブル・事件を回避するために、鍵の交換を行うことは、不動産業者・家主の義務です。

さらに、鍵の交換に掛かる工事・費用は、新しい入居者ではなく、部屋を貸し出す不動産業者が負担しなければなりません。
不動産業者が鍵の交換を怠ったり、鍵の交換を入居者に委ねる行為は、重大なコンプライアンス違反となります。

3. コンプライアンス体制を整えることの重要性と対策方法

コンプライアンス違反の発生は会社の存立を脅かす事態に繋がる可能性があるため、従業員1人ひとりの意識だけではなく、社内での組織的な取り組みが不可欠です。不動産業者のコンプライアンス体制の代表例としては、次の3つがあります。

例① コンプライアンス委員会の設置

「コンプライアンス委員会」とは、社内のコンプライアンス体制を統括する組織です。社内倫理規定の設定や従業員への教育以外に、違反行為が発生した際の対処も決定します。コンプライアンス委員会には、役員や法務担当者の参加だけではなく、弁護士など社外の専門家を招くことが一般的です。

例② お客様相談窓口の開設

「お客様相談窓口」とは、顧客から寄せられた相談・苦情を受け付ける部署です。コンプライアンスの観点から見て、現場で従業員が問題のある行為を行った際の通報窓口となります。多くの企業では女性の顧客が相談しやすいように、お客様窓口に女性職員を配置しています。
相談者を保護するために、匿名性を確保できる仕組みが重要です。

例③ 内部通報窓口の開設

「内部通報窓口」とは、従業員からコンプライアンス違反の通報を受け付ける部署です。内部通報窓口の設置は、コンプライアンス違反の早期発見に繋がります。お客様相談窓口と同様に、内部通報窓口には通報者を保護するための仕組みが欠かせません。

上記のような、機関・部署を社内に設けたうえで、コンプライアンス違反が発覚した際には、担当部署が法令や社内倫理規定にもとづいた対応を取ることが重要です。
コンプライアンス違反した職員に対する処分、二度と違反行為を起こさないための社内教育、社外への謝罪・補償などの対応を迅速に進めましょう。

4. まとめ

コンプライアンスは、単なる法令の順守だけでなく、社会通念上の倫理・道徳の順守を含む概念です。顧客の人生を大きく左右する不動産業者は、単に法律を守るだけではなく、さらに自らを厳しく律する必要があります。

社内全体で、コンプライアンスを徹底するためには、従業員1人ひとりの意識が大切です。同時に、「コンプライアンス委員会」の設置などの組織的な取り組みも欠かせません。

今回紹介した「個人情報の漏えい」や「重要事項の説明不足」などの不動産業界で起こりやすいコンプライアンス違反例をふまえて、社内の体制を整備しましょう。

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