コラム

グローバル化に欠かせない、キャッシュフローデータの戦略的活用

海外事業をトラブルなく、安定的に成長させるためには、様々なリスクをモニタリングし、タイムリーに対処することが重要です。本コラムでは企業が保有するキャッシュフローデータの戦略的な活用方法について解説します。

1.日系グローバル企業のキャッシュマネジメントの取り組み状況と課題

古くから海外進出している日本の大企業グループでは、キャッシュマネジメントシステム(CMS)の導入が進んでおり、日本・欧州・北米等の海外拠点から資金繰り情報の収集を行っています。しかし、中国・アジア等の海外拠点に関しては資金移動についての規制が多く、資金効率化の打ち手が少ないため、欧米でのキャッシュマネジメントの取り組みに比べて大幅に遅れているのが現状です。

日本はおおむね整備済み、アジア・中国は未整備、北米・欧州ではおおむね整備済み

また、キャッシュマネジメントを効果的に行う上で企業側の課題として、以下の点が挙げられます。 CMSを導入している企業グループでは、資金効率の向上を主目的としている企業が多く、内部統制の観点で管理が不十分なケースが多く見られます。また一方で、キャッシュマネジメントの管理方針やルールが整備されていない企業グループでは、IT化の遅れた地方銀行の口座も多く散在し、資金ポジション、為替ポジションをタイムリーに把握することが出来ていない企業が多く存在します。

2.資金状況の可視化がグローバルキャッシュマネジメントの第一歩

資金状況を最も効率的、かつ正確に把握する方法は、海外拠点の銀行口座の残高、入出金情報を親会社が直接取得することです。銀行から直接取得した銀行口座情報に入力ミスや虚偽の報告はありえません。また、海外拠点にとっては資金繰り実績報告の負荷を軽減できる点も大きなメリットです。現在、資金状況が把握できていないという企業様は、第一歩として正確な資金状況の可視化に取り組みましょう。

3.資金状況の変化・異常の分析

銀行口座情報の可視化により、資金状況の大きな変化や異常を発見できる様になったら、次はその要因を分析します。要因を掴むことにより、初めて有効な施策を考えることができます。
要因を分析するには、まず仮説をたて、課題となる結果数値(入出金額、予実差異等)と、それに関係している可能性のあるデータを選択して、相関をEXCELやBIツール(Microsoft社Power BIなど)を使って確認します。相関関係とデータが確認できたら、該当データに因果関係があるかは、コンピュータではなく人が推論します。このように仮説を立て、その検証に必要なデータを集め、非定型かつ自由に分析を行うことをアドホック分析と言います。

4.財務担当者にとってBIツールは強力な武器になる

アドホック分析を効率的に行うには、様々な切り口で資金グラフを作って視覚的に分析する事が可能なBIツールが便利です。BIツールとは、企業に蓄積されたデータを収集・分析・加工し、その結果を可視化するためのソフトです。コンシストが推奨するマイクロソフト社のPower BIは、一定の条件でデータの対象範囲の設定や指標の作成を自由に行うことができ、結果が図表として展開されるという高機能な製品です。分析に関する体系的な理解とテクニックさえ身に付ければ、企業の財務担当者にとってBIツールは強力な武器となり、分析の幅が飛躍的に広がります。
仮説→分析→検証を繰りかえす事で、企業体力の向上と内部統制強化に繋がることは間違いありません。

「データ分析スタートアップ支援サービス」のご紹介

コンシストは、現実のビジネス課題をテーマに、データ分析と解決策の策定を体験し、組織のデータ活用力を養成するスタートアップ支援プログラムを提供しています。(「データ分析スタートアップ支援サービス」)
キャッシュマネジメントをテーマに課題発見や要因分析を体験するワークショップ研修も可能です。
キャッシュマネジメントに関するワークショップ研修では、コンシスト社製キャッシュマネジメントツール「SKELETON CMT」やマイクロソフト社製BIツール「Power BI」を使って分析を体験して頂きます。
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解説者紹介

中村正史
株式会社コンシスト/ビジネス戦略事業本部長・チーフコンサルタント

アビームコンサルティングを経てコンシストに入社。
前職を含め20年以上、キャッシュマネジメントに関わるコンサルティング、システム開発に従事し、多くの銀行、事業会社を支援。
現在、日本政策投資銀行(DBJ)の連結子会社である株式会社コンシストに在籍し、DBJと連携して、地方銀行、地方企業へキャッシュマネジメントの普及活動、高度化支援を行っている。

【主な著書】

『キャッシュマネジメントシステム導入・運営ガイド―グループ経営の効率化を図るCMS』(中央経済社)
『Eビジネス経営―市場を制する戦略と経営基盤』(東洋経済新報社)
『金融特区と沖縄振興新法』(商事法務)

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