第4話

仕事をしていくうえで楽しいこと

Story #04

「仕事をしていく上での楽しみって何だ?」と悩み始めてしまった綿谷を励ますため、佐藤と綾香は仕事のやりがいについて語ることに

最近さ、就活生と話していて思うのが、みんな将来の仕事への希望で目が輝いているんだよね。

いきなりどうした。

いや、仕事をしていく上での楽しみって何だろう? って改めて考えているんだけど。

おいおい! 重症だな。綿谷はいつも楽しそうに仕事をしているように見えていたから、おまえからそんな言葉がでるとは思わなかったよ。

綿谷さん! 悩み聞きますからビストロ弁慶で飲みましょうよ!

うん、ありがとう。じゃあ弁慶でみんなの話を聞かせてくれない?

やっぱりプログラミングは楽しい

かんぱーい!!!

そういえば、綿谷とこうしてゆっくり飲みに行くのは久々だな。1年目は同期とけっこう飲みに行ったけど、2年目からは飲む相手が先輩になったり、全社懇親会で大勢と飲むことが多かったりするしな。

確かにそうだね。昔は先輩の会話が宇宙人の会話のように感じてたよね。

そうそう! その会話聞いて将来やっていけるのか心配だったけど、今では俺たちも新卒社員にとっては立派な宇宙人というわけだ。

ちょっとちょっと! おじさん達のオカルト話を聞きに来たわけじゃないですよ! 綿谷さん一体なにがあったんですか?

ごめんごめん。ちょっと懐かしくなってさ。 …綾香さんは、今の仕事のどんなところに楽しみを感じてる?

うーん…楽しいというか、最近「よっしゃ!」って思ったのは、メッチャ良いプログラムが書けた時ですね。

ああ。最近俺はプログラミングしないけど、確かにプログラミングは楽しいよね。

今抱えているバグとか問題とかが、ヒラメキで解決できて、更に処理速度が速くなったのを「どや〜」って見せたときに、先輩が「ほ〜、いいんじゃないか?」って褒めてくれると凄く楽しい!

その先輩って、俺のことじゃないか。

はい。キメ顔で褒めてくるのが気になりますけどね…。

どや顔で見せてくるお前が言うな!(笑)

そういえば、前の話で「SEはコミュニケーションが大切」という話が出ていたけど、結局プログラミングに戻るのか。

そうですね。本当はプログラミングをしたいんですけど、今は年次的に設計とか後輩の育成がメインで、求められる役割が違ってきましたからね。

もう3年目だし、後輩の指導もしないといけないからな。

1枚でキレイに見やすく収めるのが好き

佐藤は何かある?

楽しいことか……。パワーポイントとかでプレゼン資料を作るのが楽しいよ。限られた紙面に、どれだけキレイに見やすく収められるか? って悩むのが凄く好きだな。

あ―。それ、私一番苦手なやつです。

イチから内容を考えないといけない時は少し手間がかかるけど、だいたいは上司から「こんな感じにまとめてみて」みたいに、説明してくれた上で渡してくれるから、色々と勉強になるし楽しいな。

それってどういう楽しさなの?

キレイにまとめようとする過程で自分で理解できてると実感するんだよ。なんというかさ、色々と上司から言われて、「美しく整理できた結果がコレ!」みたいな達成感。

理解できてないと絶対にキレイにまとめられないし、それに自分の作った資料がお客様に成果物の代表として見てもらえるのが良い。自然と力が入るな。

自分で美しいとか思っちゃうの?

美しい、天才か? って思うよ。

わ、気持ち悪いですね……。

なんとでも言いたまえ。

お客様と雑談できる仲になれると嬉しい

SEらしくさ、佐藤はプログラミング系で楽しいことはないの?

スムーズにプログラミングが出来た時は気持ちいいよね。それに、ずっと分からなかったバグとかが直ったりするとそれは楽しいよ。パズルを解いたみたいな感じ。

地味だ(笑)

地味かも知れないけど、最近はお客様の要求以上の成果物を自分がイメージした通りに作成できるようになってきて、貢献できてるって実感するよ。

でも何といってもさ、楽しいというか、お客様と他愛もないことを話せる仲になることが凄く嬉しいよ。お客様と気軽に雑談ができるとか。

確かに、それはありますね。

お客様と初の打合せって、お互い様子をうかがう感じで、システムの説明をしても通じているのかどうか、よく分からないんだよね。

それ分かります。すごく緊張しますよね。

うん。でもさ、プロジェクトの終盤になってから「ぶっちゃけどうやればいいんですか?」とか、「ちょっとちょっと」みたいな感じで話しかけられたりとか、親密になれた時は信用してくれてる!って感じで嬉しいよ。

前にも言った通り、お客様の顔が見えるし仲も良くなってるから、開発にもさらに力が入って楽しく仕事できるんだよな。

お客様と仲良く話せる関係が嬉しいというのはよく分かります。電話もそうですし、打合せもそうですし。全然関係ない時に廊下とかですれ違って立ち話しているときとか。

そういえばこの前、女性のお客様から「その服装かわいいね〜」とか言われたりしてたな。

そうなんですよ!こないだ言われてすごく嬉しかったです。

そうだよね。何気ないことを話せるようになるのは嬉しいよね。

そうなんです。壁がなくなったような感じがしてすごく嬉しかったですね。佐藤さんが言ったらセクハラ事案ですけども。

なんだ、この扱いは。

まぁまぁ(笑)他にさ、社内で楽しいことはないの? 例えば飲み会が楽しいとか。

飲み会も楽しいですけど、何より嬉しいのが、そういう所でポロッと偉い人から「頑張ったね」とか言われると嬉しいですね。

確かにね、全然接点が無い人から「聞いたよ」って、褒められると結構嬉しいな。

佐藤さんでも褒められると嬉しいんですね。いつも私が「凄い!」って言っても素っ気ないんで。

それは単純に、照れ隠しなだけなんじゃないの?

……。とりあえずビールお代わり。

SEとは関係ないかもしれないですけど、いろんな場面のコミュニケーションってどんな職業でも重要ですよね。入社した当初は同期と直属の上司、あとはお客様との関係性だけが重要かと思ってましたけど。

そうだね。いろんな人と話すのは大事だね。気付きも多いし勉強にもなる。

入社する前まではプログラミングだけやっていればいいと思っていたこともあったけど…、今ではお客様と話すことの方が楽しいな。

佐藤……、お前成長したなぁ(笑)

SEだからこそできること

あとさ、「ITで社会を下支えする」っていうのを実感できた時は嬉しかったな。

佐藤さん、そんなに大きなプロジェクトに携わっていたんですか?

以前担当していた顧客が金融系だったんだよ。法人や自治体向けの融資業務を幅広くやっていて、日本経済に深く関わっていたお客様だったんだよな。

ああ、その時は大変だったみたいだけど、すごく充実してそうだったよな。結局どういうプロジェクトだったんだ?

簡単に言うと、そのお客様は無駄な業務に追われることが多くて、本来の業務が疎かになることが多かったんだよ。それこそお客様の自助努力では解決できないレベルまで。 そこで、うちが業務分析をして、膨大な手作業の部分を自動化できるように、システム化の提案をしたんだ。

それでそのお客様は、今まで手作業にかけていた時間から解放された。これがどういうことか分かるか?

イマイチワカリマセン。

……。お客様が融資業務に専念できるようになったんだよ。本来の金融としての立ち位置で仕事ができるようになったという感じかな。結果的にその後の融資業務のシステム化にもつなげることができたし。

なるほど! つまり佐藤さんは、お客様を通して、間接的に日本経済に貢献できたってことですね!

うんうん、そういうことだ。これまでどこか他人事だった、社会貢献って言葉がとても身近に思えたプロジェクトだったな。これこそがSEの使命だ! と実感したし、自分の仕事が少し誇らしくなったね。

佐藤……! お前いいこと言うなぁ! やっぱりSEって楽しいし、誇りだよな! 明日からまた頑張ってみるか!

いきなり元気になったな(笑)その調子だと悩みは解消されたみたいだな。

なんだか、悩んでたのがバカバカしくなってきたよ。じゃあ飲もうか!

そうですね! じゃあ、綿谷さんの復活を祝してカンパーイ!!

あと佐藤さん! 明日はプレミアムハーフホリデーで午前休いただきます!(笑)

お前…明日朝イチでお客様と打合せ入ってるの忘れたのか…?

そうだった! 明日は許してもらえませんか……?(笑)

許しません!

キャラクター紹介

綿谷

視野が広く、周囲と調和して仕事を進めるタイプの文系出身SE。未経験ながらも1年目から実装や顧客との打合せに出席するなど経験豊富。

佐藤

7年目の男性。大学でロボット工学を専攻していた理系出身SE。高い技術力とクールな言動の反面、意外と後輩に対する面倒見が良い。

綾香

3年目の女性で佐藤直属の後輩。いつも笑顔で元気いっぱいな文系出身SE。最近は直属の先輩である佐藤にも物怖じせずいじるようになった。

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