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2019.04.19

コラム

今さら聞けない働き方改革 ―働き方改革関連法の本質とは?―

※当社は2022年11月を以って「株式会社 コンシスト」から「DBJデジタルソリューションズ株式会社」に社名変更致しました。

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2019年4月1日―――

新年度が始まり、満員電車に乗り慣れない若者が街にあふれ、改元が発表されたこの日、働き方改革関連法が施行されました。

こんにちは。IT企業に勤める社会保険労務士の岸本と申します。

早速ですが、皆さんは働き方改革関連法についてどこまで知っていますか?
今さらながらのこの話題、実は勘違いをしている人がたくさんいるようです。
実務に対するインパクトが大きいため、総務部門の担当者こそ実務のみに着目するあまり本質を見落としていた・・という話もよく聞きます。
今日は働き方改革関連法について、今更ながらの目からウロコなお話をしたいと思います。

一億総活躍社会の実現に向けた法案

この働き方改革関連法ですが、電通問題をきっかけとして過重労働の抑制やワークライフバランスの拡充を目的に成立した法案と思われがちです。
ですが、それはほんの一部。実はもっと大きな狙いがあります。その狙いとは・・・

「一億総活躍社会を実現し、日本経済を活性化させること」

少子高齢化で日本の労働者人口が減っていく中、全ての労働者が満員電車に揺られ、労働者全員をフルタイムで雇用する時代は終わりを迎えようとしています。
この法律は今後ますます深刻化していく労働者不足を解消するための、重要な法案なんです。

労働者人口の確保が至上命題

労働者不足を解消するためには、簡単に言うと人口を増やすことですが、そう簡単には少子高齢化は解消しませんし、赤ちゃんが大人になるまで時間もかかります。

労働者不足解消のためには即効性のある施策を取る必要があります。

・育児中の母親や専業主婦等の女性層
・働く意欲の高い高齢者、リタイヤ世代

上記のような、働く意欲はあってもサラリーマンのようなフルタイムでは難しい層を掘り起こす必要があります。そのためには今までのように正社員だけにフォーカスした政策だけでは無理があるわけですね。


 働き方改革関連法で改正された代表的な法令①
 ▶ 非正規雇用社員の格差改善(同一労働同一賃金など)
 ▶ 派遣労働者の適正な派遣就業の確保(差別的取り扱いの禁止など)

多様な働き方に合致する世の中でないと、労働者人口は減る一方ですもんね。

バリバリ世代が消耗してしまう?!

だからといって、労働者人口を掘り起こせばそれで良いというものではありません。
現在進行形で日本経済を支えているバリバリ世代の働き方を変える必要もありますよね。
過重労働で健康に働けないというのはどう考えても良い方向ではありません。

今回の施行では当然ながらバリバリ世代の健康を保護する施策もとられています。


 働き方改革関連法で改正された代表的な法令② 
 ▶ 時間外労働(36協定)の上限規制
 ▶ 健康で働きやすい職場環境整備(産業医・衛生委員会の機能強化)
 ▶ 年次有給休暇の時季指定、および取得義務化
 ▶ 客観的方法による労働時間把握の義務化(自己申告になっていないか)

これらはもちろん各社の就業規則や労使協定、勤怠管理の運用に盛り込まれているものと思います。
皆さんの会社ではどのような形で盛り込まれているでしょうか?

就業規則を見直せばすべてが解決するの?

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前述した通り、労働者人口を掘り起こして一億総活躍社会を構築していかないと日本経済の成長は見込めなくなってしまう。それぞれの労働者に適した多様な働き方を認める時代へ舵を切り、全員参加型の社会を構築するのが働き方改革の真の狙いです。

36協定の上限規制や有給休暇の取得義務化、非正規労働者の地位向上などはまさに今の日本に必要な施策です。各社の総務部門も就業規則の改定等、多方面で働き方改革関連法に準拠するための施策を進めているかと思います。

でもちょっと待ってください。

就業規則改定や勤怠運用の方針決定等、法律の準拠だけで働き方改革が成ったと言えるのでしょうか?
働き方改革関連法に関連したものでなくても、労働力不足を補う施策はまだまだありますよね。それは・・・


 働き方改革関連法に依らない各社独自の施策
 ▶ 労働生産性の向上
 ▶ ワークスタイル変革
 ▶ ハード・ソフト両面での労働環境の整備

やはり生産性を向上させる施策やワークスタイルの変革、そしてそれを支える環境整備がないと、就業規則の改定など、いくら制度面の整備などを進めても、働き方改革構想は絵に描いた餅になってしまいます。

働き方改革は日本全体の問題ですが、企業にとっても労働者確保のための重要な施策であることは間違いありません。
今からでも遅くはありません。本気で働き方改革に取り組んでみませんか?

次のコラムでは、働き方改革に寄与する生産性向上のツール等を紹介したいと思います。

続きはこちら:今さら聞けない働き方改革 ―実現させるソリューション―


社会保険労務士 岸本真介
横浜市立大学商学部を卒業後、上場企業の不動産営業を経験。コンシストに入社後は財務経理、給与計算、労務管理をはじめとして、広報、教育、コンプライアンス等、多様なバックオフィスの業務を経験。2013年に社会保険労務士試験に合格。

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